平成31年度企業主導型保育事業の資金調達事例から見る、資金調達のポイント

対象企業概要

昨年に引き続き、今年度も企業主導型保育事業の資金調達に複数携わらせていただきました。その中で、金融機関が見るポイントをまとめました。


経  緯


課題と対応

■収支見込

当然ですが、新たに始める保育所の収支見込は大きなポイントです。特に

・実際に支出される費用項目が網羅されているか

・費用、または収益が過大/過小な水準になっていないか

・計画はストレスをかけて算出しているか

・借入返済後のCFはどうか

といった点は注目されるポイントです。

 

■新事業への取組みに対するリスク

企業主導型保育事業は、もともと保育所運営をされていた企業だけでなく、異業種からの新規参入や、新規法人を立上げたばかりのスタートアップ企業も多く参画しました。新規事業である場合、運営上のリスク(園児対応・親対応・近隣住民対応等)管理や、経営経験といった定性項目も審査の中で重要視されます。また、別事業を運営している企業であれば、既存事業の管理運営や、経営者の関与度合いについても注目されるポイントとなります。

 

■立地や競合の条件

保育所は装置産業的要素が強く、簡単に移転することが出来ない業態です。その為開園場所については慎重に選ぶ必要があります。単純に待機児童が多いから、といった理由ではなく、近隣企業との提携がいかに図れるか、行政の取組方針が今後リスク要因として顕在化する可能性がないか、といったことも調査する必要があります。例えば、行政が認可保育園を増加させる予定があれば、競合が激化し、想定していた収益が確保できない可能性があります。

 

■経営資源の確保

保育所は、園児1名あたりの保育士人数が定められている為、園児の確保だけでなく、保育士の確保が大きなポイントになっています。行政によっては、認可保育園に勤務する保育士に対して優遇措置を取っている自治体もあり、エリアによっては保育士の確保が難しくなり、事業運営がままならないリスクがあります。

 

これらのポイントを押さえ、また個社別要因を加味した事業計画を策定していくことで、金融機関から支援を受けることは出来ます。企業主導型保育事業に限らず、新規開業や大きな資金調達を検討している経営者様は、決断される前に是非一度ご相談いただければと思います。